フランチャイズに加盟せずに学習塾を起業・開業する

フランチャイズに加盟せずに学習塾を起業・開業する

学習塾の起業・開業の仕方が近年変化している。

一つはイーラーニング開発が進み普及し始めたため、これらを使用して開業する方が急増しています。

二つ目は、M&Aで既存の学習塾を買取り運営する方法です。

それぞれメリットデメリットが当然あるのですが、それらを知らずに開業し、失敗する方が後を絶ちません。

イーラーニングを提供するボランタリーチェーンの台頭

フランチャイズに加盟することに躊躇される方の多くは、加盟金やロイヤリティーを気にしています。

確かに安い金額ではなく、色々と縛りや制限もあるのが現実です。FCに加盟するとどうしてもトータル的に初期費用が高額となるため、起業に踏み込めない方も多いでしょう。

そこで、システム(イーラーニング)を販売契約する代わりに開業ノウハウを提供する教材開発会社がいくつか存在しますが、ここにも大きな落とし穴があります。

無料のノウハウが通用する業界は、日本にまだ存在するとは思えませんが・・・
ただほど怖いものはないのでは・・・

イーラーニングを導入し塾を起業・開業する「メリット」

イーラーニングを導入し、個人で学習塾を開業するメリットはいくつかあります。

①加盟金不要
②ロイヤリティー不要(システム使用料は必要)
③制約や制限等がないため、自由な経営が可能
④人件費がほとんどかからない
⑤開業費をかなり抑えられる

⑥講師不要なため、駅近くの必要はなく、開校可能エリアが拡大
⑦講師募集費や育成の手間、コストが不要

等が上げられます。

素人がイーラーニングを導入し、学習塾を起業・開業する「デメリット」

安価で開業できるため、業界の内情(飽和状態)を知らずに飛び込んでしまう方が後を絶ちません。

学習塾もサービス産業であり、経営力がなくては今の時代は生き残るのは厳しいでしょう。

これはフランチャイズ塾に加盟する方も同様です。塾も授業料を頂くサービス業なんです。ビジネスとして成功させる必要があるということを深く理解しておく必要があります。

イーラーニングやシステム販売業者、FC本部も成功することを前提にお話をすることが多く、どの様な方が失敗しているかの詳細を教えてくれません。

イーラーニング販売業者が営業トークで使うネタに「人件費がかからない」「人手(講師)不足の時代だけど大丈夫」があります。

確かに人件費は抑えられますが、経営者が全ての生徒の学習指導、受験指導をする必要があります。本部によっては「システム化しているから大丈夫」「質問サービスがあるから大丈夫」などとこたえる場合もありますが、実際の学習指導は簡単にシステム化できるようなものではなく、質問対応にも限界があります。

事実、素人の方ではイーラーニングで生徒が理解できない内容や、受験問題の分析、解説等非常に多くの重要な指導ができません。

質問を予約してスカイプ等で分からない問題を解説してくれるサービスを提供している業者もいますが、分からない問題の解説をしたところで、生徒がその分野を全てを理解するわけではありません。なんとなくその問題の解き方が分かった程度の「付け焼刃」なんです。

本物の学力は、解き方を教える程度では身につきません。類題をこなし、宿題で復習させ、定着しているかの確認を行うなど、時間と手間がかかるものなんです。

イーラーニングには限界があることを知って頂きたいです。現存(2019年)するイーラーニングであらゆる生徒、あらゆるケースに完璧に対応できるシステムは存在していません。動画を見せてれば成績が上がるといった魔法の道具はありません。

あくまでも教材としてどのように活用するかであり、使用する方により有効度が大きく変化してしまいます。

実例) イーラーニングで起業し廃業した方の教室経営

その他のデメリット(失敗)を実例でご紹介します。

Aさん 年齢50代、関西で塾を開業し約1年、生徒数は12名程度、開業前にアルバイト塾講師を2年程経験し、その後開業。授業形式は有名なイーラーニングシステムを使用し、オーナーが巡回指導。

こちらの教室の大きな課題は2つありました。

一つは「生徒の集客ができない」
二つ目は「成績が上がらず、退塾者が続出」

この二点でした。生徒集客は広告代理店に制作してもらったチラシとホームページ。デザイン的には綺麗だが、大手とよく似たありふれたデザインのため、開校時に20名弱生徒が入塾して以降、何度もチラシを撒いたがほとんど反応無し。

ここでの大きなミスは、広告代理店=集客のプロではないことを認識していなかったことと、Aさんはマーケテイングを全く知らなかったことです。

結果八方塞がりとなり、少ない塾生も成績が上がらず、徐々に減少。
保護者からは教室が潰れないか心配される状態。

色々とイーラーニングや教材を買いそろえたが、成果は出せず、開業後2年を待たずに廃業されました。
実はよく似た事例がいたるところで起きているのが現状なんです。

これだけは忘れないでください!!

①イーラーニングは結局使用する方(教室長・講師)の力量に依存する
ため、素人の方では成績の向上は難しい。開発会社が提案する使用方法では、すぐに限界(成績が上がらない生徒が続出します)が出てきます。そもそも学校の教科書やテスト傾向に合わせて制作されていません

②イーラーニング制作会社は開校候補地のマーケティングや教室の差別化・集客のプロではありません。教材販売会社だということを忘れないでください。

③イーラーニングが一番苦手なことは受験対策です
。例えば高校受験の場合、自治体、公立、私立、学校によりテスト内容が全て異なります。尚且つ生徒の学力や、時期により学習内容がことなるため、常にオーダーメイド化する必要があります。イーラーニングはこれらができません。

全国トッププロのイーラーニング活用術

デメリットを沢山お伝えしましたが、私が言いたいのは、成績を上げる魔法のシステムはなく、結局は運用する方のスキル次第だということをお伝えしたいのです。

それでは成績を上げる方法を紹介します。

➀まず使用するイーラーニングシステムの欠点を認識する

②公立中学の定期テスト対策であれば教科書準拠のイーラーニングを使用をお勧めします

③1教科、1週間の受講回数は2回

④宿題は必ずだす

⑤低学力層はイーラーニングを無理に使わせない。

⑥確認テストはプリントを使用


➀まず使用するイーラーニングシステムの欠点を認識する

  

それぞれの詳細

➀②イーラーニングの選定について 
イーラーニングには大きく分けて教科書準拠版と非準拠版があります。

簡単に言えば、学校の教科書に合わせた学習を進めるのか、独自のカリキュラムで進めるかの違いです。学校の定期テストを中心に進めるのであれば教科書準拠、効率良く学習を進めたい(進学塾と同じ)のであれば非準拠が良いでしょう。

また、受験対策専用コンテンツが無いイーラーニングもあるため、検討が必要。受験問題の傾向は地域や学校により異なるため、イーラーニングだけでは対応できないため、その他受験教材も併用する必要がある。

③1教科、1週間の受講回数は2回について
イーラーニングを使用するメリットとして1教科の1週間の受講回数を2回程度まで増やすことが容易であることです。これにより授業の進度が早くなり、勉強量の増加が可能となります。

講師が必要となる1:2の個別指導では授業料が高くなるため、1教科2回/週にすることは困難です。

④宿題
宿題は必ず出してください。
生徒の学力等により、復習か予習かを決め、毎回出すようにしましょう。宿題には定着と、進度(進み具合)を上げる効果があります。

⑤低学力層にイーラーニングを使用させるのは実は危険です!特に数学、英語は前学年のレベルもしくはそれ以上前の段階から理解できていないことが多々あるからです。

イーラーニングはあくまでも、今学習すべき内容しか入っておらず、これまでの内容(前学年の基礎等)が理解できている条件で作成されています。このような場合は最短で復習を終える必要があるため、できれば講師がサポートするのがベターです。

⑥確認テスト
イーラーニングによって確認テストは様々です。中には5問程度の選択形式や、本編で出題された問題を再度使用しているものなど色々です。

確認テストは学習した内容がどれくらい理解しているかを測定するものですので、最低プリント1枚(A4サイズ)程度は必要です。また、本編と同一問題は記憶に残っている可能性があるため、使用しない方が適切に評価できます。